装丁と組版を担当した

『牡丹社事件 マブイの行方──日本と台湾、それぞれの和解』

[著:平野久美子 集広舎 四六判並製/326頁]

じつは今回の制作に関わるまで、「牡丹社事件」については全く知識がありませんでした。
「霧社事件」は知っていても「牡丹社事件」は聞いたことがないという人が多いかもしれません。

なので、以下は事件についての簡単な説明です。

日本でも台湾でも「牡丹社事件」と呼んでいる一連の事件は、1871(明治4)年に起きた琉球民遭難殺害事件と、陸軍中将の西郷従道が大軍を率いて1874(明治7)年に台湾へ出兵した「征台の役」をさす。本来、このふたつの事件はまったく関係のないものだったが、明治政府が琉球民遭難殺害事件を口実にして台湾へ出兵したことから、このふたつをひとくくりにして語られるようになってしまった──(本書より)
※琉球民遭難殺害事件とは、台湾に漂着した宮古島船の乗組員66名が原住民の村に迷い込み、言葉が通じなかったことから誤解が生じて、54名が原住民(パイワン族)に殺害された上に首を狩られたいたましい事件のこと。(生存者は12名)

本書はこのふたつの事件を末裔たちとともに現代の視点から眺め、その取材記録をまとめたものです。

カバーデザインに使用しているのは台湾から宮古島に友好の証として贈られた「愛と和平の石像」。琉球風の衣装と台湾原住民の衣装に身を包んだ若者が仲良く並び、パイワン族に伝わる連杯を使って粟酒を飲んでいます。台湾と日本が、いつまでも兄弟のように仲良くという思いが込められた石像だということです。

詳細は集広舎から https://shukousha.com/information/publishing/7258/